Plenty of poetry

plentyofqualityの詩作集です。

plentyofquality#7


f:id:Cupidpsyche:20240522184405j:image


今日もデスクの上にばらまかれるニュースたちをハサミで切り刻んで、大きな袋の中に入れる人がいる

 

袋の中に手を入れて、一番最初につかみ出されたニュース…

 

それが今夜はじめのトピック…

 

 

 

テレビの中のキャスターがさも難しい顔で口を動かしている…

 

戦争が始まりそうだ…

 

けれど、世界が再び深い眠りに落ちることはないよ…

 

ガソリンが高騰して残念とか、イヤらしく誰かさんのゴシップにはニンマリしてみて、次の瞬間には、すかさず明日の天気は晴れとか…

 

それは悲喜こもごものよもやまばなし

 

飢えている君に、日替わりでお好みのニュースを毎日、毎日、目の前にとどけてあげるから…


片時も目を離さないで、耳をかたむけて…お願いだから、私の話しを聞きなさい…


ジャンルは豊富にあるから、飽きさせないから…

 

 

世界という広大な畑から取れるニュースは


まるで新鮮なベジタブル


誰もが我先とかじりたがり、食い尽くされた明日には、誰かのトイレをつまらせる


きっとまわりは水浸し、さぁ、大変…どうする


よくよく見れば、萎びて虫食いがまざされていて…


でも、キャスターは知らんこっちゃない顔してるし、求めているのは、ボクらだから…


もくもくとボクらは口いっぱいかじり続けるだけ…

 

おそらく死ぬまで…


お腹いっぱい…もう、イヤだと言うまで…

 

鬼さん、こちら手の鳴る方へ…もう、イヤだとは言わせない…

 

 

 

あぁ、これはえらくよくできた魔術師の罠だよ…


セロトニンが不足して、やがては襲うよ…不眠症


アレもコレもと、かじりすぎて君はもう、どれが真実かも分からなくなっているね…


けれど、それでいいんだ…


ボクらはあまりある情報の海を生きている…

 

 


だから片時も目を離さないで、耳をかたむけて、お願いだから終わりまで私の話を聞きなさい…

 

魔術のささやき…


ジャンルは豊富にあるから、飽きさせないから…一日の終わりにはニュースが君を癒やすから…

 

あぁ、これはたまげた魔術師の罠だよ…

 

魔術?

 

電波から流れる巧妙な魔術…

 

まだまだ、海の中で虜になっていたい…

 

 

 

けれど…そろそろお時間になってしまいました…


それではまた、明日のこの時間、お会いしましょう…

 

素敵な夢を…

 

 



plentyofquality#6


f:id:Cupidpsyche:20240521204802j:image


明日吹く風


生まれたばかりの風の子


今は、そう…生まれてきた意味も分からぬまま、泣き散らすように吹いているけれど、


いずれ、愛する人に優しく包む風になろうと頑張っている風…

 

 

明日照らす太陽


生まれたばかりの太陽の子


今は、そう…生まれてきた意味も分からぬまま、あたりかまわずこげつくように照らしているけれど、


いずれ、愛する人の洗濯物を乾かす日差しになろうと頑張っている太陽…

 

 

人間だけじゃないと言いたげに…

 


明日広がる空


生まれたばかりの空の子

 

今は、そう…生まれて来る時はいつだって、悲しげに淋しげに雨ばかりを降らすけれど、


いずれ、愛する人を微笑ませる大きな空になるんだと頑張っている空…

 

 

頑張っているのは、人間だけじゃないとでも言いたげに…

 


明日踏みしめる大地


生まれたばかりの大地の子


今は、そう…はじまりはいつだって、ひび割れて、花も木も生命さえ、そこに育つことはないけれど、

 

いずれ、愛する人を支える大きな力持ちになるんだと頑張っている大地…

 

 

そう…まるでここにいるのは、人間だけじゃないとでも言いたげに…

 

そうとでも…言いたげに…

plentyofpoetry#5


f:id:Cupidpsyche:20240520211034j:image


あんなに伝えたいことがあったのに

あんなに伝えたいことがあったのに

言葉は今日に追いこされ、夜を過ぎたら

明日はもう、どうなっているのか...

 

 

ゴミ箱いっぱいになった、がらくたの言葉はしょうもない…

それでも、拾い出して一遍の詩を紡いでみるけれど、それさえ明日はもう、どうなっているのか…

 

 

書けば書くほどに風が吹いてきてページがめくれ過ぎていく…

ペン先のインクを白に押し当てて絞り出すけれど、言葉がもう続かない…

 

 

真っ白、真っ白、真っ白が続くだけ…

 

 

書くのをやめて君に伝えたいけれど、明日の朝そこに君がいるか

君に伝えたいけれど、明日の朝そこに言葉があるか

 

 

もはや緊急事態…

 

緊急事態なんだ…

 

ドアを開けて、靴もはかずに息を切らして

 

思い出せ!遠い日の徒競走

 

早く走れ、僕…

 

もっと動け、さもなければ僕の足

 

もつれてもつれて、からんでからんで

 

土ぼこりをあげた…

 

転んでしまった…

 

終わってしまった…

 

終わってしまった…一瞬だけの僕の徒競走…

 

ポケットの中から道に散らばった…全部、全部見事に散らばってしまったよ…

 

 

見上げれば、この夜の空

 

あぁ、なんて綺麗な星の空

 

空がこんなにも美しく澄んでいたなんて今の今まで、僕、知るよしもなかった…

 

 

限りあるこの夜の空を隙間なく、僕の言葉で埋め尽くしたい…

 

やがてくる明日の朝焼けの空を隙間なく、君への言葉で埋め尽くしたい…

plentyofpoetry#4


f:id:Cupidpsyche:20240519172223j:image


森の中…

ここは森の中?

僕は誰?

僕は誰?

友達の列からはぐれてしまい…

人はいつからか、僕をさまよい人と呼ぶようになった…

 

 

どこまでも、どこまでも歩いて…

歩き続けていたら、たどり着けるかもしれない…どこでもない場所

 

 

森は不思議

不思議の中にいる

なおさら、友達の声は聞こえない

生い茂る木の葉たちの隙間から、太陽が時折顔を覗かせて、見上げる僕に、やぁ、こんにちは…

 

 

 

森は深い

あまりにも深い

見渡す限りのあまりある緑

吸い込まれてしまうから、もう帰れない…

もう帰れなくなったっていいけれど…いいけれど…

 

 

 

見たことのない色した蝶

きれいに輪を描いてひとりでダンスを踊っている

その蝶が、相手を探しに飛んできて、僕の鼻先にちょこんと止まった

今にも僕に話しかけたそうだった

けれど、ムリはいけないから、僕は黙っていたけれど、何かを言いたかったの?

 

 

さようなら、どうぞいつまでもお元気で…

 

 

 

森は息をしている

森は生きている

僕は誰?

そうさ、僕はさまよい人

今までのことは、ひとときの戯れさ…

無かったことにされてしまう戯れさ…

ららららら…

 

 

 

さぁ、もうすぐ朝がくる…

君の新しい朝が…

何度も何度もやってくるだろうその朝が来るまでに、この大きな手で君を包み、

そっと君を元いた場所に返してあげよう…

 

 

 

最後に約束

友達に言っちゃいけないよ…

これはひとときの戯れだから…

 

 

 

 

 

 

plentyofpoetry#3


f:id:Cupidpsyche:20240519110056j:image


語り継がれていく物語のようには、僕の存在は誰かの記憶に残りはしない…

 

歌い継がれていく名曲のようには、僕の歌は誰かの声で歌われはしない…

 

 

君だって、そうだろう?

 

 

時間…いろんな時間…そう、時間は河

 

河はやがて下流で交わって…その先、忘却の彼方…

 

やがては忘れられゆく時間の中

河は時に優しく、時に残酷に流れゆくけれど、

この橋の上、帰る頃には、そんなもんかと思うのか…

 

 

アイツだって、そうだろう?

 

 

やがては忘れられゆく時間の中

そんな時間は忘れられゆくためだけにあるのだから

今を一生懸命に生きろとは、戯言ぬかすな…

 

 

通りはにぎわい…今日は祭り…

 

きっと祭りは楽しく、終わる頃には少し淋しい…

 

そう、今日は祭りの日…

 

祭りの日に、なんてことだ…

 

忘れ去られ人たちの盛大な祭り

 

遠くの方から、祭り囃子が聞こえる

 

君もアイツも僕も、あの人もこの人も…

 

さぁ、祭りだ…祭りだ…

 

祭りの群衆にまぎれながら…あぁ…あぁ…

 

 

 

もはや、祭り囃子は行ってしまった…

 

一瞬の夢

 

来年の夏まで、しばしのさようなら…

 

灯りはもう消えてしまい…

 

帰る背中たち

 

その中で、誰よりも僕の背中だけが、よけいに淋しげ…

 

やっぱり、そんなもんかと思うのか…